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代表インタビュー
コンタクトレンズメーカーとしてのシンシアの強み、独自性はどんなところだとお考えでしょうか?
コンタクトレンズの販売については現在も眼科医ルートが主流であり、大手コンタクトレンズメーカーが、そのシェアを占めています。後発である私達シンシアが、眼科医に販路を求めるには大きな壁があり、大手メーカーと同じことをしていては勝ち目がありません。新たなことにチャレンジしていく必要があり、ネット販売に活路を見出したのです。
1Dayタイプのコンタクトレンズが一般的になるようになってからは、高度管理医療機器であるコンタクトレンズが日用品に近い感覚でユーザーに受け入れられるようにもなっていました。眼科医に足を運ぶ手間を避け、手軽にコンタクトレンズを購入したいと考える人も増えていたのです。その結果、シンシアは従来の眼科医ルートの販売ではなく、ネット販売という新たな潮流に乗って業績を伸ばすことができました。大手メーカーとは違うマーケットであるネット販売によって市場を拡大し、伸びてきたことがシンシアの強みであり、独自性ではないかと考えています。
ネットに加えてドラッグストアでの販売、さらには新たなインフラ構築に取り組まれているそうですが、具体的にはどのような施策を行なっているのでしょうか?
まず、ネット販売に関しましては、外資の大手メーカーも参入したことによって市場は拡大したものの、新たなシェア争いが起きています。その中で、いかに優位性をつくっていくかが今の課題となっています。お客様が手に取りやすいリーズナブルな価格で商品を提供するのはもちろんのこと、商品の信頼性を高めつつ、安心して購入いただける商品を提供していくことにトライしています。
また、ドラッグストアでの販売は創業当時から実施し、力を入れていたこともあって取扱店舗数は年々増えているのですが、まだユーザーにドラッグストアでコンタクトレンズを買う習慣がないといいますか、ドラッグストアで販売されていること自体があまり認知されておりません。しかし、これは逆にチャンスでもあると私は考えています。ドラッグストアでコンタクトレンズが購入できることを認知してもらえれば、新規の大きなマーケットになり得るわけです。そこで、2017年からドラッグストアと協議のうえ、ドラッグストアでの販売に向けたクリアレンズを専売商品として開発するなど、新たな戦略の元、活動を始めています。
さらには今年、シリコーンハイドロゲルという新素材を用いた高品質の商品を開発しました。こちらの商品に関しましては、私達にとっては大きく開拓できていない眼科医ルートでの販売を推し進めてまいります。シンシアにとっては、この眼科医ルートという販路は弱いものでした。そのため、創業当時は業界としては新たな販路を中心に、コンタクトレンズのベテランユーザーをターゲットに事業を伸ばしてまいりました。しかし、この2019年、眼科医にも自信をもって紹介できる新素材のコンタクトレンズ を開発したことにより、眼科医ルートにも注力し、コンタクトレンズの初心者ユーザーからベテランユーザーまで、より多くのお客様にシンシアの製品ご使用いただけるように販路の強化をしていきたいと思っています。この眼科医ルートは、業界的には昔からある通常の販路ですが、弊社にとっては むしろ新たな販路ということができます。シンシアにとって、この眼科医ルートに注力し大きく伸ばしていくことは、新たなインフラの構築ともいえると思っています。
シンシアの商品は比較的リーズナブルな価格帯ですが、どのようにして低価格帯での販売を実現しているのですか?
可能な限り経費を抑えるということでしかないですね。私達は主な商流としてネット販売ルートからスタートしたので、眼科医ルートでの販売のように多くの営業職を抱える必要がなく、必要最低限の少人数で会社を運営することができました。この要素も大きいと思います。今後、競争環境が厳しくなることは想像に難しくありませんが、他メーカーよりもお求めやすい価格でお客様に商品を提供することが、創業当初からのシンシアのポリシーでもあります。今後も、その思いを実現し続けることができるように体制を組んでいきたいと考えています。安全性は大前提として、安いというのも重要な強みですから。
今後、近視用レンズで多彩なラインナップを揃えていく予定とのことですが、戦略的な理由があれば教えてください。
現在、大手メーカーでは高含水レンズが主流になっています。そんな中、当社のように低含水レンズと高含水レンズの両方を販売しているのはめずらしいケースだと思います。なぜ、低含水レンズを発売し続けるのか。それは、お客様ファーストの考え方からです。低含水レンズ、高含水レンズそれぞれに良し悪しがあります。高含水レンズは酸素透過率の高さや装用感の良さが大きく謳われていますが、反面乾きやすい性質を持っています。そのためドライアイの方が長期的に使うには、あまり向いているとはいえません。ですから、これまで低含水レンズを利用してきた方は、次も低含水レンズを選択すると思うのです。やはり、その人の目に合ったレンズを使っていただきたい。そういう商品を提供するのがメーカーの使命だと思っています。
近い将来、少子高齢化や視力矯正技術の発達など、コンタクトレンズ業界に及ぼす影響が懸念されていますが、業界全体としてどうなると予想されていますか?
少子高齢化は厳然たる事実なので受け入れざるを得ませんが、その中にあって少しずつではありますがコンタクトレンズ市場は伸びています。その要因となっているのが、先ほど海外展開の話でも触れたカラーレンズの存在です。以前は雑貨品扱いだったカラーレンズが高度管理医療機器としてコンタクトレンズのジャンルに組み込まれマーケットを形成するようになりました。今後、カラーレンズが女性のファッションアイテムの一つとしてもっと定着したなら、まだまだ伸びる余地があると思います。
また、高齢化は進んでいるものの、コンタクトレンズを使用する年数も伸びている。つまり、昔であれば40代、50代ではコンタクトレンズを利用したことが無い方がほとんどであったり、利用していても眼鏡に移行する方がいました。しかし今の40代、50代では、まだまだ使い捨てという手軽さもあり、コンタクトレンズの利用者が昔よりも増えてきていると感じています。特に女性向けのコンタクトレンズの需要が、共働き等就業女性の増加に伴って、今までよりも伸びて行くと予想しています。
さらには、装用者の高齢化に伴い、遠近両用レンズの需要も増えると考えられます。そもそもコンタクトレンズが遠視にも使えることを知らない方が多いのですが、その部分を消費者に啓蒙しながら、より高品質な遠近両用レンズを開発できれば新たな市場拡大にもつながると考えています。
最後の質問となります。どんな企業でありたいか。また将来的にどのような企業を目指しているのでしょうか?
これも創業当初からの想いなのですが、社会に対して常に価値のあるモノ・サービスを提供する企業でありたいと思っています。そして、その結果として、しっかりと利益を上げられる企業でなければいけないとも考えています。シンシアの商品は高度管理医療機器であるコンタクトレンズですから、安全性を軽視するわけにはいきません。お客様が安心して使え、なおかつお求めやすい価格と販路で提供する。つまり、お客様に価値を認めてもらえる商品・サービスを提供するというシンシアの根幹をなす、この思いだけは将来的にも変わることはないと思います。